今は、建築や土木の業界は技術の進歩や様々な新材料の開発により、
年々複雑な知識が必要になってきています。
それに伴い設計事務所に所属する建築士や現場で実際に施工を管理する現場監督の皆さんは、
常に新しい情報を手に入れ日々勉強する必要があるのです。

それは、職人にも言えることで現場で新しい工法や今までの工法の改善などの努力が必要です。
その現場内で基礎となるのが施工図です。
現場内で誰もが目にできるこの図面は大変貴重な役割を果たしているのです。

施工図に必要な情報は?

現場で使われる図面には設計事務所で描く設計図があります。
この図面には、仕上げ表、平面図、立面図、建具表、その他の図面と更に、法規的な事、構造図、
電気や機械などの設備関係図があり建物が大きくなる程多くの図面が存在します。
しかし設計図は、どの業種でも分かる様な描き方はしていません。
大まかには全体像が把握できますが、細かい事は一切記載されていないのです。
施工図にはこうした細かい部分の情報が求められます。

具体的には仕上げ工事で、壁下地にどの寸法の材料を使い、
どの厚みの何の仕上げ材を貼り付けるかの、寸法図が必要なのです。
設計図には大まかな線で表記されている事を、
施工図にはより詳細な線と寸法と材料名の情報を盛り込む必要があります。
この詳細な図面を基に電気や機械設備といった他業種が、
それぞれの配線や配管そして器具関係を図面に表記し不具合があるか無いかを、
図面上でチェックできるのです。
更に、それぞれの業種に合う情報のみを表記して職人に必要な事だけを提供します。

施工図の役割は?

施工図の役割は、一言で表現すれば現場の生命線となる位置付けです。
この図面がなければ100%と言っていい程、現場は進みません。
施工図には、各業種専用に詳細を書き記したもので基礎工事であれば、土工、鉄筋工、型枠工など
基礎を完成させるまでの各工種ごとに描く必要があります。
基礎が出来上がれば、その構造によって鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造など
建物の骨組みとなる部分の施工図が実用になります。
内装仕上げであれば、間仕切りを組み立てする業者や
木工事があれば大工さん用の施工図も必要です。
このように一つの建物でも各業種や更に各業者に専用に、より詳細に記した図面なのです。
また、施工図を描く事により問題を事前に浮き彫りにして、
対策や方法を探る事で工事を円滑に進める役割もあります。
これらの図面を描くには多くの現場経験や各業種の専門知識が必要になります。
建物一つを完璧に仕上げるには多くの労力により描かれた施工図が支えています。