建物を建てるためには作業工程ごとに多くの図面が必要です。
建築の作業工程を大きく分けると、計画、実施設計、施工に分かれます。
それぞれの段階で、必要な図面が書かれ、主に計画と実施設計で立面図と断面図が書かれます。
計画の段階は提案の段階でもあります。
建物を建てるかどうかがはっきりしない段階から、作図作業が行われます。
それに対して、実施設計は建物を建てることがはっきり決まってから書かれます。
実施設計図は基本図と詳細図に分かれ、立面図や断面図は基本図に含まれます。
立面図・断面図とは?
計画段階での図面は、単線又は簡単な方法で作図されるのが一般的です。
実際に建てるかどうかがはっきりせず、数案の計画が提示され、試行錯誤が繰り返されるからです。
計画段階での立面図は建物のイメージをつかむために書かれます。
図面には色付けされ、プレゼンテーションの意味合いが深いものになります。
断面図は法規のチェックに使われます。
建物を建てる場合は建築基準法の規定に沿わなければなりません。
高さ制限、道路斜線、隣地斜線、北側斜線などの規定を満足しているかどうかの確認は、
断面図においてなされます。
実施設計は建物の実施が決まった後に始まります。
実施設計の中でも重要な意味を持つのが基本図です。
基本図には特記仕様書、配置図、面積表、仕上表、平面図、立面図、断面図、矩計図があります。
これらの図面だけで、建物の概略はほぼ決まります。
実施設計の目的は建築確認申請と見積りが可能な図面を作成することです。
図面の記載内容はその目的に沿ったものとなります。
立面図・断面図の見方
実施設計で書かれる立面図には立面でなければ表現できない内容が記載されます。
建物の外観に窓やドアなどの建具を記載し、平面図と合わせて、
どんな開口部が付くのかがわかるような記載がなされます。
立面図は方角ごとに東側、南側、西側、北側の4面が書かれます。
目地の位置や仕上げの区別、屋外階段も書き込まれます。
立面図には非常用進入口、消防の無窓階の算定で必要な開口部など、
法規に関する事項の記載もなされます。
断面図は建物を縦に切った図面です。
断面図には地盤面からの最高の高さ、軒高、各階の高さ、床高の寸法が示されます。
さらに、法規上の斜線制限が記載され、建築物の各部分が斜線制限に抵触しないことが示されます。
採光に有効な部分を示す採光斜線や、避雷針の有効範囲も示されます。
建物内部では排煙窓の位置が、天井からの高さを含めて記載されます。
地階が設置される場合は地盤面と天井高の関係が示され、地階の判断が可能となる根拠が示されます。
立面図と断面図は平面図と共に、建築の最も基本となる図面です。