建築計画や確認申請、不動産取引などで目にする「配置図」。
一見するとシンプルな図面ですが、実は建物の位置や周辺環境との関係を正確に伝えるために欠かせない重要な図面です。
この記事では、配置図の意味や役割、記載すべき項目、そして実務で使える作成手順までをわかりやすく解説します。
建築士や施工担当者はもちろん、これから住宅を建てようとしている方、車庫証明の取得を考えている方にも役立つ内容です。
配置図とは?意味と役割をわかりやすく解説
配置図は、建築確認申請や建築計画の初期段階で求められる、基本かつ重要な図面です。
敷地の形状や建物の配置、接道状況などを図式化することで、設計の方向性や法的な適合性を確認するための土台となります。
この章では、「そもそも配置図とは何か?」という基本から始まり、どのような情報を含める必要があるのか、なぜ建築プロセスにおいて欠かせないのかといった視点から解説していきます。
また、所在図・案内図との違いにも触れながら、配置図が果たす役割を実務・法務両面から整理して理解を深めましょう。
配置図の定義と建築設計における重要性
配置図とは、敷地と建物の位置関係、接道状況、外構(フェンス・門扉・駐車スペースなど)などを示す図面です。
建築確認申請時には必須の図面であり、建築物が法令に適合しているかを判断するための根拠資料となります。
配置図には以下のような情報が記載されます。
- 敷地の形状・境界線
- 建物の配置(寸法・方位・隣地との距離)
- 道路との接道状況(幅員、出入口の位置)
- 駐車場、庭、外構のレイアウト
- GL(グランドライン/地盤面の基準線)やBM(ベンチマーク/高さ基準点)などの基準点
これらを図面上に明確に示すことで、建物と周辺環境との関係を一目で把握できるようになります。
配置図は、建築士や施工業者が設計・工事を進めるうえでの出発点であり、行政機関による審査の基礎資料でもあります。
配置図に記載すべき要素と図面表記のルール
配置図を作成する際は、記載すべき項目と表記ルールを守る必要があります。
主な要素は以下の通りです。
- 敷地の形状と面積:正確な寸法で記載。
- 建物の位置・寸法:方位(北を上)とともに明記。
- 道路との接続状況:道路の幅員、接道長さ、セットバックの有無。
- 建ぺい率・容積率の計算根拠:建築面積や延べ面積などの数値根拠。
- 高さ情報(GL・BM):高低差がある場合は特に重要。
- 外構要素:塀・フェンス・駐車場・水道メーター・止水栓などの設備位置。
図面は縮尺1/100または1/200が一般的です。誰が見てもわかりやすく、法令に準拠した形式で描くことが求められます。
配置図・所在図・案内図の違いと使い分け
配置図と混同されがちな図面として「所在図」と「案内図」があります。
所在図は建物の本拠地と駐車場などの位置関係を示す図面で、2km以内の距離であることを証明するために使用されます。一方、配置図は駐車場や敷地内の詳細なレイアウトと寸法を表現するものです。
所在図は広域的な位置関係を示し、いわば「マクロな視点」からの図面です。
そのため周辺の目印となる建物や道路名を記載することで、その場所への案内図としての役割も果たします。
これに対して配置図は「ミクロな視点」で、敷地や駐車場内の具体的な寸法や配置を詳細に表現します。
駐車スペースの横幅・縦幅、出入口の寸法、隣接道路の幅員などを明記することで、実用性を確保しています。
特に車庫証明申請では、所在図は条件によって省略できる場合がありますが、配置図はどのような場合でも省略することができない重要書類です。
図面名 | 主な役割 | 表現内容 |
配置図 | 敷地内の詳細配置を示す | 建物・駐車場・外構などの 寸法・方位・道路接続 |
所在図 | 広域の位置関係を示す | 敷地の周辺地図 (目標物や道路名など) |
案内図 | 来訪者向けの道案内図 | 地図形式で周辺案内を記載 (不動産広告などに多い) |
配置図の作成方法と記載ルール【初心者でも失敗しない書き方】
前章では、配置図がどのような情報を含み、どのような役割を担っているのかを整理しました。
この章では、それを踏まえたうえで、実際に配置図を作成する際の流れと注意点、そして法的に求められる記載内容について詳しく見ていきます。
配置図はただの参考図ではなく、建築基準法などの法令に基づいた公的書類としての側面があります。
とくに、敷地と道路の接道状況、建ぺい率や容積率などの制限との整合性を確認するうえで欠かせないものです。
正確な配置図を作成するためには、基本的な図面作成スキルだけでなく、法規制や実務知識も求められます。
この章では、初心者にもわかりやすい3つのステップに分けて、配置図作成の流れとポイントを実践的に解説していきます。
ステップ別:配置図の作成手順と注意点
配置図の作成は、以下の3つのステップで進めるとスムーズです。
【ステップ1】下書き段階
敷地の形状、隣接道路、建物の配置をおおまかに描きます。駐車場がある場合は、出入口の幅、駐車スペースの寸法、隣接道路の幅員も記載しましょう。立体駐車場の場合は、所在階や高さ・重量制限も加える必要があります。
【ステップ2】寸法や方位の記入
配置図はフリーハンドでも構いませんが、できるだけ正確に寸法を記載します。縮尺は1/100または1/200が一般的で、北方向(方位)も必ず記載します。
【ステップ3】確認・修正
賃貸物件の場合は管理会社から所在図や配置図が提供されることもありますが、内容が不十分な場合は自ら測定して記載しましょう。
配置図の法的要件と建築確認申請時のチェックポイント
建築確認申請において、配置図は法的に必要な書類です。次の要件を満たす必要があります
- 敷地境界線と建物の後退距離の記載(道路斜線や隣地境界からの距離)
- 建ぺい率・容積率に関する数値根拠(敷地面積・建築面積など)
- 北側斜線制限・日影規制の影響範囲
- 防火・準防火地域の場合は、防火構造や設備の記載
これらを配置図上に正しく記載することで、確認申請がスムーズに受理されます。
配置図の法的要件 | 内容 |
境界線・後退距離 | 敷地境界線、道路境界線からの後退距離の明示 |
建築制限の表現 | 建ぺい率、容積率、斜線制限、日影規制への適合 |
防火関連情報 | 防火地域内の建築物における耐火構造・防火設備情報 |
接道義務・建ぺい率の記載方法と敷地・道路の関係の表現
敷地と道路の接道状況は、建築基準法において重要なポイントです。
- 接道義務:幅4m以上の道路に、敷地が2m以上接している必要があります。
- 建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合。例:敷地100㎡、建ぺい率50% → 建築面積は50㎡まで。
- セットバックが必要な場合、道路中心線から2m以内の部分は敷地面積に含めない。
これらの数値や条件を配置図上で明確に記載することで、法的要件に適合した図面となり、建築計画の信頼性が高まります。
よくある質問(FAQ)|配置図に関する疑問を解決!
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配置図と平面図の違いは?
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配置図は敷地と建物の位置関係を示す図面、平面図は建物内部の間取りを示す図面です。
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配置図は誰が作成するのですか?
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通常は建築士が作成しますが、簡易な配置図であれば個人でも作成可能です。
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配置図を自分で作成することは可能?
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提出先の要件を満たせば可能です。用途に応じて正確性が求められる場合があります。
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車庫証明に必要な配置図の内容とは?
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駐車場の位置・出入口の幅・道路との接続状況など、必要事項を明記する必要があります。
まとめ|配置図の重要性と正しい作成のポイント
本記事では、配置図の定義や役割から、作成方法・法的要件・図面の記載例までを解説しました。
配置図は建築計画や確認申請における重要書類であり、敷地と建物、道路との関係を正確に表現する必要があります。正しい知識と記載ルールに基づいて作成することで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな建築・申請プロセスを実現できます。
ぜひ本記事を参考に、実務に役立つ配置図を作成してみてください。