収納家具は、単に「棚を作る」だけではなく、収納する物のサイズ/取り出し動作/壁や天井との納まり/配線まで含めて成立します。
とくに壁面収納家具やリビング収納家具は、完成後に「思ったより入らない」「配線がぐちゃぐちゃになる」「扉が干渉する」などの手戻りが起きやすいため、家具図の段階で要点を押さえることが重要です。
本記事では、システム収納家具・収納棚・壁面収納家具・リビング収納家具を一つにまとめ、家具図面作成の基本と標準寸法の考え方、ミスを減らすチェック方法を解説します。
収納家具図とは?

収納家具図は、収納家具を製作・施工できる情報量に落とし込むための図面です。収納は「とりあえず箱を作る」と失敗しやすく、何を入れるのか・どこで使うのかに合わせて寸法と内部構成を詰める必要があります。特に壁面収納は奥行の選択一つで、圧迫感や使い勝手が大きく変わります。
収納家具図で最低限そろえる図面
まず最低限、以下の3点セットを用意すると、認識ズレが減ります。
- 平面図は、家具の設置位置・奥行・扉や引出しの干渉、通路幅の検討に必須です。
- 立面図は、段割や扉割、見付ライン(目地や扉の通り)を整えるために使います。
- 断面図は、棚板の位置、巾木よけ、壁固定方法、配線の逃げなど“納まりの核心”を表現するため、壁面収納ほど重要度が上がります。
図面に必ず入れる情報(収納家具共通チェック)
収納家具図で最低限入れたい情報は、外形寸法(W/D/H)と内寸(有効寸法)、棚板仕様(固定か可動か、ピッチ)、扉の開き勝手・引出しストローク、壁固定の方法と下地条件、仕上げ(面材・木口・取手)、そして配線計画(コンセント位置・配線孔)です。
収納家具の標準寸法の考え方
収納家具の寸法は「標準=正解」ではなく、収納物から逆算して決めるのが基本です。
特に奥行は、収納量だけでなく、取り出しやすさ・見た目の軽さ・通路の確保に直結します。
ここでは実務でよく迷う「奥行30/40/45cm」の考え方を整理します。
奥行の目安
壁面収納の奥行は、40cm前後が「収納量を確保しやすい」として選ばれることが多い一方、実際に使ってみると「30cmでも十分だった」という声もあり、最初に「何を入れるか」を決める重要性が示唆されます。
また、パントリー棚の検討例では、棚板奥行は30~45cmが推奨される情報があり、収納棚設計の目安として転用できます。
リビング壁面収納の事例でも、奥行40cmのたっぷり収納型が紹介されており、生活用品や書籍など「嵩張る物」をまとめる方向性と相性が良いことが分かります。
設計の実務としては、目安を以下のように置くと整理しやすいです。
- D300:書類・A4ファイル・小物中心、圧迫感を抑えたい壁面
- D400:生活用品・書籍・機器収納まで幅広く対応
- D450:収納量重視、ボックス運用・家電/機器を置く想定がある場合
棚板間隔の目安
収納は「未来に入れる物が変わる」ため、基本は可動棚で逃げるのが安全です。
可動棚のダボ穴ピッチは32mmが一般的な例として紹介されています。
一方で、棚柱の間隔に「明確に何mmが良い」と一律指定できるわけではなく、最終的には収納物と構造・金物仕様で決める姿勢が重要です。
家具別:図面作成ポイントと標準寸法
ここからは4キーワードを、実務の「図面ポイント」に翻訳して解説します。
収納家具は種類が違っても、最終的には「割付」「納まり」「配線」「固定」の4点で品質が決まります。
システム収納家具:モジュール前提で「割付」と「納まり」を固める
システム収納は、ユニットやパーツを組み合わせて構成する収納で、組み合わせの自由度がメリットです。
図面では、最初に「モジュールで成立する範囲」を固め、次に現場側(壁の不陸・巾木・梁・コンセント)で必要な逃げを確保します。
メーカーCAD/BIMを起点に検討すると、寸法の取り違えが減ります。例えばLIXILのCAD/BIM検索では、リビング・居室収納カテゴリのデータにアクセスできます。
引用:https://www.biz-lixil.com/service/cad/search/
収納棚:用途が広い分「耐荷重」と「ピッチ設計」を図面で担保
収納棚は用途が広く、逆に言えば「何を載せるのか」が決まらないと図面が薄くなりがちです。
可動棚のピッチ(例:32mm)を前提に、収納物の高さを吸収できる設計にしつつ、重い物(書籍・ストック)を載せる場合は棚板厚や受け金物、支持点の考え方を図面注記で明確にします。
壁面収納家具:奥行+配線+固定(下地)で失敗しやすい
壁面収納は、収納量だけでなく圧迫感・動線・配線が絡むため、失敗の要因が増えます。
特に奥行はD300/D400/D450で迷いやすく、40cmで作ったが30cmでも良かった、ということもあります。
また、壁面収納はテレビ・ルーター・HDD・ゲーム機など、配線が集中しがちです。
ここを図面で解決するには、配線孔の位置・サイズの方針、コンセントの位置、機器の放熱まで含めて「収納内の設備計画」として記載しておくことが重要です。
さらに安全面では、壁固定と下地の確認が重要です。
リビング収納家具:見せる/隠すの比率を先に決め、割付に落とす
リビング収納は、見た目の印象を決める「面」になるため、先に「見せる収納(オープン)」と「隠す収納(扉付き)」の比率を決めると、割付が安定します。
加えて、リビングは生活用品が集まりやすいため、奥行40cmクラスの壁面収納でまとめる事例もあります。
メーカー系では、Panasonicの壁面収納(CUBIOS)のようにプラン作成や図面確認につながる導線があるため、既製〜セミオーダー寄りの設計では参考になります。
引用:https://sumai.panasonic.jp/interior/shuno/cubios/
実践:収納家具図でミスを減らすチェック項目
最後に、収納家具図でよく起きる手戻りを減らすための実務チェックをまとめます。
収納は「作ってから気づく」と直しにくい箇所が多いため、図面段階で「潰す」のが最もコスト効率が良いです。
納まりチェック(巾木・梁・建具・コンセント)
巾木よけや天井際、梁欠きの有無を立面・断面で明示し、扉の開閉が建具やスイッチに干渉しないかを平面で確認します。
壁面収納はコンセントを塞ぎやすいので、コンセント位置は「家具の割付」とセットで確定させます。
| チェック項目 | どの図面で確認する? | 具体的な確認内容 |
| 巾木・廻り縁・梁欠き | 立面/断面 | 当たり・逃げ寸法、欠き込み要否 |
| 扉の開閉干渉 | 平面/立面 | 建具・スイッチ・家具同士の干渉、開き勝手 |
| 引出しストローク | 平面 | 全開時に人が立てるか、通路を塞がないか |
| 配線孔・コンセント | 平面/断面 | 機器収納位置、配線経路、熱・メンテ性 |
| 壁固定・下地 | 断面/施工指示 | 下地位置、固定点、金物、耐震対策 |
動線チェック
引出しを最大に引いた状態で人が立てるか、扉を開けた時に通路を塞がないかを平面で確認します。
リビング収納ではロボット掃除機基地を想定する場合もあるため、床際の逃げや開口も考慮します。
固定・安全チェック
壁面収納は特に、壁固定の前提(下地位置、固定点、金物)を図面や施工指示で明確にします。
転倒防止では、壁下地を探して固定する考え方があります。
よくある質問(FAQ)
壁面収納の奥行は30cmと40cm、どちらが無難ですか?
一般に迷ったら40cmを中心に検討しつつ、収納物が書類・小物中心なら30cmでも成立するため、最初に「入れる物のリスト化」で判断するのが安全です。
可動棚のピッチは何mmで考えるべきですか?
可動棚のダボ穴ピッチは32mmが一般的な例が多い一方、用途・金物・耐荷重で最適が変わるため、採用金物の仕様に合わせて図面で統一ルール化するのが確実です。
収納家具図で一番トラブルが多いのはどこですか?
壁面収納では奥行設計と配線処理(コンセント・機器収納・配線孔)でトラブルが起きやすいため、断面図で「配線の逃げ」を含めて描くのが効果的です。
まとめ
収納家具図は、見た目のデザインだけでなく「奥行」「棚ピッチ」「配線」「固定」を図面で担保して初めて、施工・製作でブレない図面になります。
システム収納家具は、現場納まりを追記して完成度を上げ、収納棚は可動棚と耐荷重の考え方を図面で明確化、壁面収納家具とリビング収納家具は奥行と配線を最優先で詰めるのが成功の近道です。
株式会社リゴーレでは、家具図作成から施工までワンストップで対応可能ですので、壁面収納や造作収納の計画段階からお気軽にご相談ください。










