オーダー家具図は、既製品家具を配置するための図面とは異なり、寸法・材料・金物・納まり・取付条件まで含めて、設計意図を具体的に伝えるための図面です。
見た目のデザインを整えるだけでなく、使い勝手や施工性、製作のしやすさまで左右するため、平面図や立面図だけではなく、断面図や詳細図まで含めて整理することが重要になります。
特に別注家具は、案件ごとに条件が異なるため、標準寸法をそのまま当てはめるのではなく、「何をどう使う家具なのか」を起点に図面を組み立てることが、精度の高い設計につながります。

オーダー家具図とは?既製品家具図・造作家具図との違い

オーダー家具図を理解するうえでは、まず「既製品家具図」や「造作家具図」との違いを整理しておくことが大切です。
似た言葉として扱われることが多いものの、図面の役割は少しずつ異なります。
既製品家具図は、市販家具を空間に配置するための図面であり、主な目的は寸法確認や動線確認です。
一方、オーダー家具図は、一から家具を製作する前提で作成されるため、見た目だけでなく、製作方法や施工条件まで落とし込む必要があります。
さらに造作家具図は、建築と一体化して現場据付する家具を対象にすることが多く、壁・床・天井との固定や取合いがより重要になります。
ただし実務では、オーダー家具と造作家具を明確に分けず、重なる概念として扱うケースもあります。

家具図の種類と役割の違い

種類 主な対象 図面の目的 主な記載内容
既製品家具図 市販家具 配置確認 外形寸法、動線、搬入確認
オーダー家具図 別注製作家具 製作・施工指示 寸法、材料、金物、納まり
造作家具図 現場据付家具 現場施工・固定 下地、固定方法、取合い、詳細

オーダー家具図では、完成イメージを伝えるだけでは不十分です。製作側と施工側の双方が迷わない情報量を確保することが、図面の大きな役割になります。

オーダー家具図で最初に決めるべきこと

オーダー家具図は、いきなり細かい寸法から入るとまとまりにくくなります。
最初に整理すべきなのは、「何のための家具か」「どこに置くか」「誰が使うか」という基本条件です。
この整理が曖昧なまま図面化すると、寸法は合っていても使いにくい家具になりやすく、製作後の手戻りにもつながります。

たとえば収納家具であれば、何を収納するのかによって必要な奥行きや棚ピッチが変わります。
デスクであれば、作業内容によって天板寸法やコンセント位置が変わります。
テレビボードであれば、AV機器の放熱や配線計画が必要になります。
このように、オーダー家具図では家具の「用途」を起点に設計条件を整理することが基本です。

図面作成前には、使用目的、設置場所、使用者条件、意匠条件、予算や納期まで含めて確認しておくと、後工程での判断が安定します。
設計上の自由度が高い分、最初の整理が図面の質を大きく左右します。

オーダー家具図に必ず入れたい図面と記載項目

オーダー家具図では、平面図と立面図だけで情報が足りるとは限りません。
家具の内部構成や取合い、固定方法まで検討するためには、断面図や詳細図も含めた図面構成が必要になります。

平面図では、家具の配置や出幅、周辺との関係を確認します。
立面図では、扉割や引出し割、見付のバランスを整理します。
断面図では、棚板位置や板厚、内部有効寸法、壁や床との納まりを確認します。
さらに詳細図では、金物・見切り・巾木逃げ・取手・固定方法など、製作や施工で判断が分かれやすい部分を明確にします。

オーダー家具図でよく使う図面セット

図面種類 主な役割 記載したい内容
平面図 配置・出幅確認 幅、奥行き、通路、周辺との関係
立面図 正面構成の確認 扉割、引出し割、見付、棚割
断面図 内部構成・納まり確認 棚板位置、板厚、下地、固定方法
詳細図 製作・施工の判断基準 金物、巾木逃げ、見切り、取合い
仕様表・仕上表 仕様確定 面材、芯材、小口、金物品番

また、図面には外形寸法だけでなく、材料・仕上げ・板厚・棚板の固定/可動・扉や引出しの開閉方式・金物種類・配線孔・通気の有無まで明記しておくことが重要です。
オーダー家具図は、情報が抜けるほど現場判断に依存しやすくなります。

標準寸法はどう考える?オーダー家具図の寸法設計の基本

オーダー家具には、既製品のような一律の標準寸法があるわけではありません。
ただし、実務上よく使われる目安はあり、それを基準に用途に応じて調整していくのが一般的です。
重要なのは、外形寸法から考えるのではなく、まず必要な有効寸法を決め、そこに板厚や金物寸法を足して最終寸法にまとめることです。

たとえば棚の奥行きは、書類や書籍中心なら250~300mm程度、日用品や雑貨であれば350~450mm程度がひとつの目安になります。
可動棚のピッチは32mmが実務では扱いやすく、後から収納物が変わっても調整しやすい寸法です。
これは家具製作で広く用いられているSystem32の考え方とも親和性があります。
カウンター高さは用途によって異なり、座って使う場合は700mm前後、作業用では850mm前後、立ち作業中心であれば900~1000mm程度までを目安に検討するケースがあります。

オーダー家具図でよく使う寸法の考え方

項目 目安 補足
棚の奥行き 250~450mm 収納物に応じて決定
可動棚ピッチ 32mm 実務で使いやすい標準
カウンター高さ 700~1000mm程度 用途・使用者に応じて調整
引出し内部有効高さ 100~200mm以上 収納物によって変える
巾木逃げ 物件の巾木寸法に合わせて調整 一般に30~60mm程度+クリアランスを確認

寸法を決める順序としては、まず収納物や用途を整理し、次に必要な有効寸法を出し、その後に板厚や金物寸法を足し戻して、最終的な外形寸法にまとめる流れが基本です。
この順序を守るだけでも、図面の整合性はかなり高まります。

材料・金物・納まりをどう図面に落とし込むか

オーダー家具図では、寸法だけ合っていても完成しません。どの材料を使うのか、どの金物を採用するのか、壁・床・天井とどう取合うのかまで図面で整理しておく必要があります。
ここが曖昧だと、製作段階で仕上がりが想定とズレたり、現場で納まりの再検討が必要になったりします。

材料については、面材の種類、芯材、小口仕上げ、塗装の有無、木目方向まで明記しておくと、仕上がりの解釈違いを防げます。
金物については、丁番、スライドレール、棚受け、取手、固定金物などを明示し、必要に応じて品番レベルまで落とし込むと安全です。
さらに、巾木逃げや幕板、フィラー、壁際・床際のクリアランスなど、見た目と施工性の両方に関わる要素も図面に反映させることが重要です。

オーダー家具図で起きやすいミスと対策

オーダー家具図は自由度が高い反面、図面の抜けや想定不足がトラブルにつながりやすい分野です。
よくあるのは、板厚を見込まずに有効寸法が足りなくなるケース、扉や引出しが壁や建具に干渉するケース、コンセントや配線位置が家具に隠れてしまうケースです。
また、固定方法が不明なまま進んで現場判断になることや、棚耐荷重を十分に考慮していないことも、実務では起こりやすいミスです。

こうしたミスを防ぐには、平面図・立面図だけで終わらせず、断面図と詳細図を必ず入れることが有効です。
可動部については開閉軌跡まで確認し、電気設備との取合いは設備図と重ねて確認します。
さらに、固定位置や下地条件を図面に明記しておけば、施工時の判断を減らすことができます。
オーダー家具図では、描き足す手間よりも、描き足さなかったことによる手戻りの方が大きいと考える方が安全です。

よくある質問(FAQ)

オーダー家具図と造作家具図は同じですか?

近い意味で使われることもありますが、一般的にはオーダー家具図は別注製作家具全般を指し、造作家具図は現場据付や建築と一体化した家具を指すことが多いです。ただし、実務上は両者を明確に分けずに扱うこともあります。

オーダー家具図は平面図と立面図だけで足りますか?

足りないことが多いです。内部構成や納まり、固定方法まで確認する必要があるため、断面図や詳細図も加える方が安全です。

オーダー家具図に標準寸法はありますか?

一律の標準寸法があるわけではありませんが、棚奥行きや可動棚ピッチ、カウンター高さなどには実務上の目安があります。用途に応じて調整することが前提です。

可動棚のピッチは何mmが一般的ですか?

32mmピッチが一般的です。収納物が変わっても調整しやすく、実務でも扱いやすい寸法です。

図面で最も重要なのは何ですか?

外形寸法だけではなく、材料・金物・納まり・固定方法まで含めて、製作側と施工側が迷わない情報を揃えることです。

まとめ

オーダー家具図は、単に家具の形を描く図面ではなく、使い方・寸法・材料・納まり・施工条件をひとつにまとめる設計資料です。
平面図・立面図だけでなく、断面図や詳細図、仕様表まで含めて整理することで、製作時の解釈違いや現場での手戻りを減らすことができます。
オーダー家具図では、まず用途と収納内容を整理し、そのうえで有効寸法から外形寸法へ落とし込む流れを守ることが、精度の高い図面づくりにつながります。