家具やインテリアを計画するとき、見た目のデザインや色合いだけでなく、実際に置いたときの寸法感や動線を事前に把握しておくことはとても重要です。
そのために欠かせないのが「家具図」です。
家具図は、設計者や施工者だけでなく、施主やクライアントが完成形を具体的にイメージするための強力なツールとなります。
まずは、家具図がどのようなものなのか、その基本的な意味や役割から確認していきましょう。

家具図とは?基本的な意味と役割
家具図とは、室内に配置する家具の形状・寸法・配置位置、さらには材質や仕上げなどの仕様を図面化したものです。
建築や内装の計画段階で作成され、施工者・家具職人・施主の三者が同じ完成イメージを共有するための共通言語ともいえる存在です。
図面上では単なる四角や線に見える家具も、実際の空間では動線や使い勝手に大きく影響します。
そのため、家具図はデザイン性だけでなく、機能性や安全性を確保するための基盤となります。
家具図の作成方法は目的によって異なります。
例えば、住宅やオフィスの計画では平面図や立面図に家具を描き込み、部屋全体のレイアウトや動線を検討します。
一方、家具そのものを製作する場合には、家具だけを独立して描いた詳細図を用意します。
この詳細図には、部材の厚みや接合方法、金物の位置、開閉方向など、製作現場で必要な情報がすべて盛り込まれます。
特にオーダーメイド家具や造作家具の現場では、数ミリ単位の誤差が仕上がりや使い勝手に直結するため、家具図の精度が非常に重要です。
こうした図面が正確であれば、製作段階での迷いや現場判断が減り、工期短縮やコスト削減にもつながります。
また、発注者にとっても、家具図を通して完成後の姿を事前に確認できるため、完成後の「想像と違った」というトラブルを防ぐ効果があります。

家具図の主な種類
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
| 平面家具図 | 真上から見た図面に家具を配置。動線や距離感を把握しやすい | 住宅やオフィスのレイアウト計画 |
| 立面家具図 | 壁面方向から見た図。高さや棚板位置、扉の開き方向が明確 | 収納家具、造作家具の設計 |
| 家具詳細図 | 部材寸法や金物位置を細かく記載 | 製作図、職人や工場への指示 |
| 3D家具図 | 立体的な表現で空間全体のバランスを確認 | プレゼン、完成イメージ共有 |
平面家具図(家具配置図)
平面家具図とは、部屋を真上から見下ろしたレイアウト図に家具を描き込んだものです。
家具の幅や奥行き、隣接する家具との距離、通路の幅などを直感的に把握できるのが特徴です。
住宅ではリビングのソファとテレビボードの距離、ダイニングテーブルの位置、動線の確保などに活用されます。
オフィスでは、デスクや会議テーブル、収納棚などの配置を決定する際に必須の資料であり、席数の最適化や部署ごとのゾーニングにも役立ちます。
家具同士の配置バランスや、人が移動する際の通路幅(一般的には600mm~900mm程度が推奨)を事前に検証できるため、日常の使い勝手を大きく左右します。
立面家具図
立面家具図は、壁に面した家具を正面から見た図で、高さ方向の寸法や内部構成を細かく表現します。
棚板の段数や高さ、扉や引き出しの開き方向、取っ手の位置、照明の有無なども記載されます。
キッチンの立面家具図では、ワークトップの高さ、吊り戸棚の位置、レンジフードの大きさなどが明示され、作業効率や安全性の検証が可能です。
クローゼットや壁面収納では、内部の仕切りやハンガーパイプの高さ設定、可動棚の位置など、収納の使いやすさを左右する情報が盛り込まれます。
高さ方向の情報を正確に把握できるため、完成後の圧迫感や使い勝手の不満を防げます。
家具詳細図
家具詳細図は、製作現場でそのまま使用できるレベルの精密な図面です。
部材の厚み、接合方法、ビスや金物の位置、素材や仕上げの指定などが細かく記載されます。
木工所や家具メーカー、店舗什器の製作現場では、これが直接的な製作指示書となります。
特にオーダーメイド家具や造作家具の場合、図面精度が低いと現場判断が増えて施工ミスややり直しが発生しますが、詳細図が正確であればそうしたリスクを大幅に減らせます。
さらに、材料の発注や加工工程の計画にも役立つため、コスト削減や納期短縮にもつながります。
3D家具図(パース・BIMデータ)
3D家具図は、BIMや3D CADなどで作成された立体的な図面で、空間全体の中で家具がどのように見えるか、どのように機能するかを視覚的に理解できます。
完成後の雰囲気やスケール感を直感的に把握できるため、施主やクライアントへのプレゼンに非常に効果的です。
例えば、リビングのソファを大型にする場合、周囲の通路幅や他の家具との干渉がないかを3Dで確認できます。
また、色や素材感もレンダリングによって再現できるため、デザイン検討の段階で複数のパターンを比較できます。
住宅や店舗、オフィスの設計で採用が増えており、VR内覧やARシミュレーションとの連携も可能です。

用途別に見る家具図の活用例
住宅の家具図
住宅の家具図は、生活の快適さや利便性を高めるための基礎資料です。
収納量の確保、生活動線の確保、部屋全体のバランス調整など、日々の暮らしに直結する計画に用いられます。
例えば、キッチンでは冷蔵庫・食器棚・作業台の距離感を「ワークトライアングル(作業三角形)」の考え方に基づき、効率的な動線を確保します。
さらに、食器棚や引き出しの扉の開き方向を事前に確認することで、開閉時の干渉を防ぎます。
リビングではソファやテレビボードの距離、ダイニングでは椅子を引いた際の後方スペースなど、家具の大きさだけでなく使用時の動きまで考慮することが重要です。
オフィスの家具図
オフィスの家具図は、業務効率や社員の快適性、コミュニケーションのしやすさに大きく影響します。
デスクやキャビネット、会議テーブル、複合機などをどの位置に配置するかは、部署間の動線や作業内容に合わせて計画されます。
近年はフリーアドレス化やテレワーク導入が進み、固定席だけでなく、可動式家具やエリアごとのゾーニングを取り入れた柔軟なレイアウトが求められています。
会議室や集中ブース、休憩スペースなど、多様な働き方に対応できる家具図を作成することで、オフィスの生産性と満足度を同時に高められます。
店舗・商業施設の家具図
店舗や商業施設では、家具図が売上に直結します。陳列棚やレジカウンター、試着室などの配置を工夫することで、来店客の動線をコントロールし、回遊性を高められます。
例えば、入口から店内奥まで自然に視線や足を誘導する「回遊型レイアウト」、主要商品を目立たせる「フォーカルポイント配置」など、販売戦略に基づく家具配置が効果的です。
また、カウンターや什器の高さは顧客の視線レベルに合わせることで購買意欲を刺激できます。
通路幅や什器間の距離は混雑時のストレス軽減や安全面にも関わるため、家具図作成時の重要な検討項目です。
医療・福祉施設の家具図
医療・福祉施設の家具図は、安全性と利便性を両立させることが最優先です。
車椅子やストレッチャーがスムーズに通れる通路幅を確保し、ベッドや診察台の周囲には介助者が動きやすいスペースを設けます。
また、収納家具や備品棚の高さは利用者やスタッフの負担を減らすために設定し、角のないデザインや耐震固定など安全対策も盛り込みます。
特にバリアフリー法や各施設の設置基準に基づく寸法は必ず家具図に反映させる必要があります。
こうした計画により、利用者・スタッフ双方にとって安心で使いやすい環境が整います。
よくある質問(FAQ)
家具図と家具配置図の違いは何ですか?
家具配置図は位置関係を簡易的に示す図で、主に平面図形式です。一方、家具図は立面や詳細も含み、製作や施工に必要な情報まで網羅します。
家具図は自分でも作れますか?
簡単な配置図であれば方眼紙や無料ソフトでも可能ですが、製作レベルの図面はCADや専門知識が必要です。
家具図を作るメリットは?
施工前にレイアウトや寸法を正確に確認できるため、工事後のやり直しや材料ロスを防ぎます。
家具図作成に必要な情報は何ですか?
部屋の寸法、開口部の位置、家具のサイズ、扉や引き出しの開閉方向、電源やスイッチ位置などが必要です。
家具図を入手する方法はありますか?
家具メーカーの公式サイトやカタログ、建築・インテリア関連のCADデータ配布サイトなどから入手できます。
まとめ
家具図は、空間の快適性や機能性を高めるために不可欠な図面です。
種類や用途を理解し、計画段階から正確に作成しておくことで、完成後の満足度や施工精度が大きく向上します。
住宅・オフィス・店舗・福祉施設など、利用シーンに応じた家具図を効果的に活用することが、理想の空間づくりへの第一歩です。










