「建具図面をどうやって書けばいいの?」
建築設計・施工の現場で建具図面の作成に取り組むと、ドアや窓の詳細な仕様から取付方法まで、一度に覚えることが多く戸惑ってしまうものです。
さらに、建具図面には施工図とは異なる独自の表現方法があり、それを理解しないまま図面を書き始めると、後で現場での手戻りが発生することもあります。
本記事では、建築・施工に携わる方や建具図面の作成を学びたい方に向けて、建具図面の基本知識から、CADの書き方までをステップごとにわかりやすく解説します。

建具図面の基礎知識と作成前の準備

建具図面を正確に書くためには、基礎知識と準備の理解が欠かせません。
建具設計においては、平面図・立面図・断面図などの異なる図面を用途に応じて使い分ける必要があります。
建具図面に必要な種類ごとの役割・ルール・使用するツール(CAD)について紹介します。
線の太さや種類、縮尺の設定といった基本ルールも解説しますので、施工現場で使える図面を作成したい方にも役立つ内容です。

建具図面の種類と建築における役割

建具図面には、主に以下の種類があります。

図面の種類 役割 縮尺の目安
平面図 建具の取付位置と開き勝手を表現 1/100~1/200
立面図 建具の外観デザインと仕様を明示 1/100~1/200
断面図 建具の構造と取付納まりを表現 1/50~1/30
詳細図 複雑な接合部分を拡大して記載 1/20~1/5

それぞれの図面は、施工業者や建具製作業者にとって不可欠な情報を担います。
国土交通省の建築工事設計図書作成基準では、平面図・立面図・断面図の標準縮尺は1/100又は1/200と定められており、詳細図では1/50又は1/30が使用されます。
現代の図面作成ではCADソフト(AutoCAD、JW-CADなど)の活用が主流で、建具の性能や取付方法を正確に書き起こすことが求められます。

建具図面で扱う建具の種類と特徴

建具図面で扱う建具は、用途と設置場所によって分類されます。
■ 外部建具の特徴

  • 玄関ドア・各種窓(引き違い、開き、すべり出し)
  • 雨戸・シャッター・面格子
  • 重要ポイント:気密性・水密性・断熱性能の記載が必須

■ 内部建具の特徴

  • 室内ドア(開き戸、引き戸、折りたたみ戸)
  • 収納扉・間仕切り・障子・襖
  • 重要ポイント:意匠性・開閉動作・メンテナンス性を考慮
建具分類 主な建具 図面で重視する項目
外部建具 玄関ドア、窓、雨戸 性能等級、水切り、気密材
内部建具 室内ドア、収納扉、間仕切り 開き勝手、材質、金物
特殊建具 自動ドア、防火戸、可動間仕切り 法規制、安全装置、制御方法

図面作成に必要な道具と基本規格

建具図面を作成する際は、適切な道具が必要です。

■ デジタル作図に使えるCADツール

ソフト名 特徴 対象ユーザー
JW-CAD 無料・建築業界でよく使われる 初心者~実務者
AutoCAD 業界標準・機能が豊富 中~上級者
Vectorworks 建築設計に特化・3D連携 設計事務所向け
DraftSight 無料・AutoCAD互換 初心者・学生

建具図面を書く際は、JIS(日本工業規格)に準拠することが重要です。
JIS A 0150(建築製図通則)では建築製図の標準縮尺が定められており、図面ごとに明記する必要があります。
平面図・立面図・断面図では1/100又は1/200が標準で、詳細図では1/50又は1/30を使用します。
CADで書く場合は、レイヤー分け(建具本体/金物/寸法線など)を活用し、情報の整理と視認性を高めると効率的です。

建具図面の基本的な書き方と記載事項

建具図面の書き方には標準的なルールがあり、これらを理解して適切に表現することが重要です。
図面の構成から線の使い分け、記載すべき情報、そして図面表現の技術的なポイントまで、実務で通用する建具図面を作成するための基本知識を解説します。
施工現場で迷わずに使える図面を作成したい方は、ぜひ参考にしてください。

図面の構成と基本レイアウト

建具図面は通常、平面図・立面図・断面図の3つの図面で構成されます。
平面図では建具の取付位置を壁や柱との関係で明確に示し、開き勝手について内開き・外開き・左開き・右開きを分かりやすく表現します。
立面図は建具の外観を正面から見た図として作成し、デザインや材質、仕上げが一目で分かるように描きます。
断面図では建具の構造と取付方法を詳細に表現し、枠と扉の関係、気密性能、敷居や鴨居の納まりを明確に示します。
JIS A 0150では、開き戸は円弧を伴わない30°の角度又は円弧を伴う90°の角度で表示すると定められています。また、図面の配置は平面図・立面図・断面図の順序で整理し、関連する詳細図を近くに配置することで、図面の読みやすさを向上させることができます。

記載すべき基本情報と重要性

建具図面に記載すべき情報は多岐にわたります。

■ 寸法関係の記載事項

  • 開口寸法(W×H)・建具外形寸法・框の寸法
  • ガラス寸法・金物の取付寸法
  • 重要性:製作と施工の基準となる最も重要な情報

■ 材質・仕上げの記載事項

  • 枠材・扉材の材質(木製・アルミ・樹脂など)
  • 表面仕上げ(塗装・アルマイト処理など)
  • 金物の種類と仕様
  • 重要性:品質と外観を左右する重要な仕様

■ 機能・性能の記載事項

  • 開閉方式(開き戸・引き戸・すべり出しなど)
  • 気密性・水密性等級(JIS A 4706に基づく)
  • 防火性能・断熱性能
  • 重要性:建築基準法や省エネ基準への適合性
記載項目 具体的な内容 記載例
寸法 開口寸法、外形寸法、框寸法 W1800×H2000、框見付70mm
材質 枠材、扉材、金物 アルミ押出形材、ステンレス丁番
性能 気密性、水密性、断熱性 A-3、W-2、H-3
仕上げ 塗装、表面処理 アルマイト処理、フッ素樹脂塗装

線の種類と建具記号の使い分け

建具図面では、JIS Z 8312(製図-表示の一般原則-線の基本原則)に基づいて線の太さと種類を適切に使い分けます。

■ 線の太さの基本(JIS規格)

  • 細線:0.18mm又は0.25mm
  • 太線:0.35mm又は0.5mm
  • 極太線:0.7mm又は1.0mm
  • 太さの比率:1:2:4

■ 線の種類の使い分け

用途 線の種類 特徴
外形線 太い実線 建具の輪郭を強調
寸法線・引出線 細い実線 寸法や注釈を明示
中心線 一点鎖線 対称軸や回転軸を表現
隠れ線 破線 内部の見えない構造を表現

■ 建具記号と注釈の基本
建具図面では、統一された記号と注釈を使用します。ドアはD1、D2、D3…、窓はW1、W2、W3…で分類し、材質は AL(アルミニウム)、GL(ガラス)、ST(スチール)などの略号を使用します。特記事項は引出線を使用して詳細を明記し、図面の読みやすさを確保します。

建具の種類別・詳細な作成方法

建具の種類によって図面の描き方や注意点が大きく異なります。
ドア、窓、引き戸、特殊建具など、それぞれの特性を理解した上で適切な表現方法を選択することが重要です。
実際の施工現場で使われる図面を作成するため、各建具の構造的特徴と図面上での表現方法を詳しく解説します。

ドア(開き戸)の詳細な図面作成

開き戸の図面作成では、開き勝手の表現が最も重要な要素です。
平面図では扉の開き方向を弧線で明確に表現し、戸当たりの位置を正確に記載します。
JIS A 0150では、開き戸は円弧を伴わない30°の角度又は円弧を伴う90°の角度で表示すると定められています。

■ 平面図でのポイント

  • 開き勝手を弧線で表現(90度開きを基本とする)
  • 戸当たりの位置を明確に記載
  • 蝶番の位置(上・中・下の3箇所が一般的)

■ 立面図でのポイント

  • 扉のデザイン(フラッシュ・框組み)を明確に表現
  • 取っ手の位置と種類(レバーハンドル・ドアノブなど)
  • 明かり取りがある場合はガラス部分の詳細を記載

■ 断面図でのポイント

  • 扉と枠の取合い(クリアランス寸法)
  • 気密材の位置と種類
  • 敷居の段差処理(バリアフリー対応の場合)

外部ドアの場合は、気密性・水密性の性能等級も合わせて記載し、内部ドアでは開閉の際の他の建具や家具との干渉チェックも重要な確認事項となります。

窓の種類別作成方法

窓の図面作成では、開閉方式による表現の違いを理解することが重要です。

■ 引き違い窓

  • 障子の重なり部分を明確に表現
  • 戸車の位置と種類(調整機能付きなど)
  • 網戸の取付方法とレール位置

■ 開き窓

  • 開き勝手の表示(内開き・外開きの区別)
  • ストッパーの位置と開放角度制限
  • 排水処理(窓台の勾配・水切りの形状)

■ すべり出し窓

  • オペレーターの位置と種類(手動・電動)
  • 開口角度の制限(30度・45度など)
  • 面格子の取付方法(防犯・清掃性を考慮)
窓の種類 重要な記載事項 特に注意すべき点
引き違い窓 障子の重なり、戸車の種類 網戸の収納方法、気密性能
開き窓 開き勝手、ストッパー位置 排水処理、開放角度制限
すべり出し窓 オペレーター位置、面格子 清掃方法、防犯性能

窓の図面では、ガラスの種類(単板・複層・防犯ガラスなど)と厚さの記載も重要で、特に外部窓では断熱性能や遮音性能の等級表示が必要になります。

引き戸と特殊建具の作成方法

■ 引き戸の図面作成
引き戸の図面作成では、レールの種類と取付方法が重要な要素となります。

  • 上吊り引き戸:レールの位置と種類、戸車の仕様、戸袋の納まり
  • 敷居溝引き戸:敷居の溝寸法と戸車の関係、床仕上げとの取合い
  • 引き込み戸:引き込み先の壁厚と構造、配線・配管との干渉チェック

■ 特殊建具の作成方法
特殊建具では、法規制や安全性への配慮が特に重要です。

  • 自動ドア:センサーの位置と種類、制御装置の設置位置、安全装置の配置
  • 防火戸:防火性能(20分・60分耐火)、国土交通大臣認定番号(EA・EB・EC区分)、自動閉鎖装置の詳細
  • 折りたたみ戸:折りたたみ機構の詳細、蝶番の配置と種類、収納時の寸法

特殊建具の図面では、製造メーカーの技術資料や施工要領書との整合性も重要で、特に防火設備については建築基準法の規定に完全に適合する仕様を記載する必要があります。

よくある質問(FAQ)

建具図面を描く際の標準的な縮尺はどれくらいですか?

平面図・立面図・断面図は1/100又は1/200が標準です。詳細図は1/50又は1/30、部分詳細図は1/20~1/5を使用します。

建具図面に記載すべき最も重要な寸法は何ですか?

開口寸法(W×H)が最も重要で、次に建具外形寸法、框寸法、ガラス寸法、金物取付寸法の順で記載します。

防火設備の建具図面を作成する際の注意点は?

防火性能(20分・60分耐火)と国土交通大臣認定番号の記載が必須です。性能区分(EA・EB・EC)と自動閉鎖装置の詳細も明記する必要があります。

建具図面の修正が発生した場合の対応方法は?

影響範囲を確認し、関係者に迅速に通知します。修正図面では変更履歴を明記し、修正箇所を色分けや記号で明示して現場に確実に伝達します。

建具図面を外注する際のポイントは?

専門性と実績、CADソフトの対応能力を評価します。事前に設計図面と建具表を提供し、中間チェックと最終確認を系統的に行うことが重要です。

まとめ

建具図面の書き方について、JIS規格や建築基準法に基づいた正確な知識から実務のコツまで詳しく解説しました。
建具図面は建築工事の品質を左右する重要な図面であり、正確な作成方法の習得は建築関係者にとって不可欠なスキルです。

  • 建具図面に必要な平面図・立面図・断面図などの種類と役割
  • JIS規格に基づいた線の使い分けや縮尺の選定方法
  • ドア・窓・引き戸など建具の種類ごとの表現方法と注意点

これらの知識を身につけることで、施工現場で混乱なく使える建具図面を作成できるようになります。
法規制の遵守と品質確保を両立させた、実践的な建具図面の作成にぜひ活用してください。
建具図面の作成でお困りの際は、施工図の専門家にご相談ください。
豊富な経験と技術で、お客様の要望に最適な図面を提供いたします。