「家具図面ってどうやって書けばいいの?」
初めて家具製図に取り組むと、定規の使い方から線の引き方、CADソフトの操作まで、一度に覚えることが多く戸惑ってしまうものです。
さらに、家具図面には建築図面とは異なる独自のルールがあり、それを理解しないまま図面を書き始めると、後で大幅な修正が必要になることもあります。
本記事では、建築やインテリアを学ぶ学生やDIY初心者に向けて、家具図面の基本知識から、手書き・CADそれぞれの書き方までをステップごとにわかりやすく解説します。

家具図面の基礎知識と準備するもの
家具図面を正確に書くためには、基礎知識と道具の理解が欠かせません。
家具設計においては、平面図・立面図・断面図などの異なる図面を用途に応じて使い分ける必要があります。
家具図面に必要な種類ごとの役割・ルール・使用するツール(手書き・CAD)について紹介します。
線の太さや種類、縮尺の設定といった基本ルールも解説しますので、DIYで家具づくりに挑戦したい方にも役立つ内容です。
家具図面の種類と建築における役割
家具図面には、主に以下の種類があります。
| 図面の種類 | 役割 | 縮尺の目安 |
| 平面図 | 上から見た配置と寸法を把握 | 設計時:1/20、制作時:1/10~原寸 |
| 立面図 | 正面や側面からの外観確認 | 設計時:1/20、制作時:1/10~原寸 |
| 断面図 | 内部構造や接合部の表現 | 設計時:1/20、制作時:1/10~原寸 |
| 詳細図 | 複雑な部分を拡大して記載 | 1/5~原寸 |
それぞれの図面は、見積もりや施工に不可欠な情報を担います。
たとえば、設計段階では1/20程度の縮尺で全体像を把握し、制作段階では1/10や原寸で細かい寸法を明確に記します。
また、現代の図面作成ではCADソフト(AutoCAD、JW-CADなど)の活用が主流で、部材の納まりや構造を正確に書き起こすことが求められます。
図面作成に必要な道具とデジタルツール
家具図面を手書き・デジタルのどちらで書くにしても、適切な道具が必要です。
■ 手書き用の基本道具
- 直定規・三角定規・コンパス
- 製図用シャープペンシル(0.3mm〜0.9mm)
- 製図用紙(A2〜A4のケント紙やトレーシングペーパー)
■ デジタル作図に使えるCADツール
| ソフト名 | 特徴 | 対象ユーザー |
| JW-CAD・DraftSight | 無料・軽量で操作がシンプル | 初心者~学生 |
| AutoCAD・Vectorworks | 機能が豊富で業務向け | 中~上級者 |
| SketchUp・Fusion 360 | 直感的でDIY向け | 初心者・中級者 |
CADを使う場合は、性能のよいパソコンや、操作性を高めるためにタブレットやペンタブレットもあると便利です。
家具図面の基本的な規格と縮尺の選び方
家具図面を書く際は、JIS(日本工業規格)やISOなどの図面規格に準拠することが大切です。
JISでは13種類の標準縮尺が定められており、図面ごとに明記する必要があります。
代表的な縮尺:原寸(1/1)、1/2、1/5、1/10、1/20、1/50、1/100
家具の種類や用途に応じて使い分けましょう。
たとえば平面図や立面図では1/20〜1/100、詳細図では1/5〜1/10など、より大きな縮尺が適しています。
CADで書く場合は、レイヤー分け(家具本体/備品など)を活用し、部材や記号の視認性を高めると効率的です。
図面に用いる線の種類と使い分け方
家具図面では、線の太さと種類を使い分けて書くことで、情報を視覚的に整理できます。
線の太さの基本比率(例):
- 太線(外形線)
線の種類の使い分け例:
| 用途 | 線の種類 | 特徴 |
| 外形線 | 太い実線 | 家具の輪郭を強調 |
| 寸法線・引出線 | 細い実線 | 寸法や注釈を明示 |
| 中心線 | 一点鎖線 | 対称軸などを表現 |
| 隠れ線 | 破線 | 内部の見えない構造を表現 |
これらのルールに従って線を使い分けることで、誰が見ても分かりやすい家具図面が書けるようになります。
手書きで書く家具図面のステップ
家具図面を手書きで書く場合の基本的な手順とポイントについて解説します。
下書きから始まり、平面図・立面図・断面図の書き方、寸法の記入方法、そして仕上げや修正方法まで、初心者にもわかりやすくステップごとに説明します。
手書きによる図面作成は、CAD操作にも応用できる基本スキルです。
自作の家具を正確に設計したいDIY愛好家や学生の方は、ぜひ参考にしてください。
下書きから始める家具デザインの考え方
図面を書き始める前に、まずはアイデアスケッチからスタートしましょう。
頭の中のイメージを紙に描くことで、形状や構造が視覚的に整理されます。
スケッチができたら、実際の寸法を考慮した下書きに進みます。
このとき大切なのは、家具の用途と設置環境を明確にすることです。
例:
- 本棚 → 本の大きさ、設置スペース、利用者の身長などを考慮
- 椅子 → 座面高さや背もたれ角度など人間工学に基づいた寸法が重要
また、木材の厚みや強度、接合方法によって構造や寸法の取り方が変わる点も意識しましょう。
平面図・立面図・断面図の基本的な書き方
手書きで三面図を書く際は、まず製図板に用紙を固定し、正確な水平線・垂直線を引くところから始めます。
各図面のポイント:
- 平面図:家具を真上から見た形。全体の寸法や配置を表す
- 立面図:正面や側面から見た外観。高さや奥行きが中心
- 断面図:家具を切断した状態の内部構造。厚みや接合部を明示
各図面は相互に寸法が対応している必要があるため、整合性に注意しながら書き進めることが重要です。
また、JIS規格に沿った線種や太さの使い分けを意識することで、図面全体の視認性が大きく向上します。
正確な寸法の書き方と注釈の付け方
家具図面では、寸法の書き方が完成度に直結します。
寸法線は形状線と区別できるよう細線で書き、数値や矢印は見やすい配置を心がけましょう。
寸法記入の基本ルール:
- 単位は「mm」で統一(例:720mm)
- 寸法数値は読みやすいフォントで適切なサイズに
- 細かい寸法には小数(例:0.5mm)を使い分ける
材質や仕上げ、特記事項などは引出線と注釈で明記し、複雑な構造部分には詳細図への参照番号を付けて補足すると親切です。
さらに、誤差を防ぐため、基準点からの絶対寸法で書くのが推奨されます。
手書き図面の修正と仕上げのテクニック
誤記や変更があった場合の修正方法も、手書き図面では大切な工程です。
- 軽い誤り → 製図用消しゴムで丁寧に修正(紙を傷めないように)
- 細かい修正 → 修正テープを使い、上から再描画
図面の仕上げでは、線の太さを使い分けて最終確認を行います。
インクでトレースする場合は製図ペンを使用し、乾燥後に下書き線を消すと、仕上がりが美しくなります。
保存や複製を考えるなら、スキャナーで取り込みPDF化しておくと便利です。次回の設計時にも再利用できます。
CADソフトを使った家具図面の書き方
近年の家具図面作成では、CADソフトを使ったデジタル製図が主流です。
手書きに比べて修正が容易で、正確な寸法の入力や再利用も簡単に行えるのが特長です。
初心者向けのCADソフトの選び方から、効率的な書き方の手順、時短テクニック、材料情報の入力方法、さらには3Dモデルとの連携まで、実践的なノウハウを段階的に解説します。
初心者向けCADソフトの選び方と基本操作
初めてCADで家具図面を書こうとする場合、最初のハードルはソフト選びです。
目的やスキルレベルに応じて適切なソフトを選ぶことで、スムーズな学習と作図が可能になります。
初心者におすすめのソフト:
| ソフト名 | 特徴 | 対象ユーザー |
| SketchUp(無料版) | 直感的な操作性、基本機能が充実 | 初心者、学生 |
| Fusion 360 | 高機能な3Dモデリング、クラウド連携 | 学生、趣味層~中級者 |
| JW-CAD | 国産、建築業界でも使用例あり | 無料で基本操作を学びたい方向け |
| AutoCAD/SolidWorks | プロフェッショナル向け高機能 | 業務・設計事務所向け |
多くのソフトには図形作成、寸法入力、編集といった共通の基本機能があります。
まずは簡単な家具(棚、机など)から書き始め、段階的に難易度を上げていくのが上達の近道です。
CADでの効率的な図面の書き方と時短テクニック
CADソフトを活用する際は、効率的に家具図面を書き進める工夫がポイントです。
効率化に役立つ機能:
- レイヤー機能:平面図・立面図・寸法線などを分けて管理
- ブロック機能:引き出しや棚板など繰り返し使う部材をテンプレート化
- ショートカットキー/マクロ:操作の時短、作業効率アップに効果的
これらを組み合わせて使うことで、図面が複雑になっても管理しやすくなり、修正や変更も簡単に行えるようになります。
プロの現場でも、部材ライブラリの活用やカスタムテンプレートの導入が作業の定番となっています。
CADでの寸法設定と材料情報の書き込み方法
CADでは、正確な寸法入力をベースに図形を作成していきます。
たとえば長方形を書く場合も、マウス操作ではなく縦横の寸法を数値で入力することで、より精度の高い図面が完成します。
また、部材ごとに材料の種類・仕上げ・加工指示などの情報を注釈や属性として入力することが可能です。
具体例:
- 材料:オーク材/ウォールナット/スチール など
- 仕上げ:オイルフィニッシュ/塗装/無塗装
- 注釈:ビス留め・ほぞ継ぎの方法、角の面取り指示など
これらをレイヤー分けして表示・非表示を切り替えられるようにしておくと、作業中のミスも減らせます。
さらに、部材表と連携させれば、見積や材料発注にもそのまま活用できます。
3Dモデリングと2D図面の連携テクニック
最新のCADソフトでは、3Dモデルから2D図面を自動生成できる機能が搭載されています。
たとえば、3Dで書いた家具に対して、ワンクリックで平面図・立面図・断面図を生成できるため、作業時間を大幅に短縮できます。
また、3Dモデルを修正すれば、それに連動して2D図面も自動で更新されるため、図面の整合性が常に保たれます。
活用例:
- SketchUp ProやFusion 360では、断面スライス→断面図自動生成が可能
- CADと連携するビューワー(例:SPIDERPLUSなど)で3Dと2Dを同時表示して確認可能
こうした機能を使いこなすことで、視覚的にもわかりやすく、実務でも通用する家具図面を書くことができるようになります。
実践で役立つ家具図面の応用と提出テクニック
家具図面は、設計や製作のためだけでなく、第三者への説明・共有・プレゼンテーションにも用いられる重要なツールです。
家具の種類別に異なる図面の書き方や、材料・接合部の詳細な表現、提出・プレゼン時のレイアウトの工夫、プロが使う図面テンプレートの活用方法まで、実務に役立つ応用テクニックを紹介します。
家具の種類別の図面の書き方と注意点
家具図面は、種類によって書き方の工夫が必要です。それぞれの特徴に応じて、見やすく伝わりやすい表現を意識しましょう。
主な家具と書き方のポイント:
| 家具の種類 | 書き方の特徴 | 注意点 |
| 椅子 | 座面・背もたれ・脚の形状を明確に書く | テーブルと組み合わせたレイアウトが伝わりやすい |
| テーブル | 天板と脚部の位置・形状を描写 | 単純な外形だけでなく構造も明示 |
| 収納家具 | 扉・引き出しの動きを矢印などで表現 | 断面線や開口部の記号を活用 |
| 造り付け家具 | 壁面との接合を実線で明記 | 床との接地方法も記載 |
| 天吊り家具 | 中破線で上部設置を表現 | 高さ・位置情報を記載する |
図面では、JISやインテリア製図通則に従い、線の種類(実線・破線・一点鎖線など)や太さ(0.1~0.5mm)を正しく使い分けることが大切です。
材料と接合部の詳細図の書き方
材料や接合部の詳細図は、家具の製作精度に直結する重要な要素です。
材料の表現:
- 木材 → 木目を平行線で表現(材種により線間を変える)
- 金属 → 二重線や影を使い、質感の違いを明示
- 合板 → 積層線や符号で区別
接合部の書き方(例):
- ほぞ継ぎ → ほぞと穴の寸法・位置を明記。分解図も併記すると親切
- ビス止め → ビスの種類、長さ、角度を注記
- ダボ接合・組手接合 → 部材の位置関係と組み立て順を図示
EMARF CADなどのデジタルツールを活用し、接合部の詳細設定や加工のシミュレーションも容易に行えます。
こうしたツールを併用すると、ミスのない高精度な図面作成が可能になります。
提出・プレゼン用図面のレイアウトとまとめ方
家具図面を提出書類やプレゼンテーション資料としてまとめる場合、見やすさと情報の整理が重要です。
提出・プレゼン時の工夫ポイント:
| 項目 | 内容 | 効果 |
| 用紙サイズ | A1/A2などの大判 | 情報量の確保と視認性向上 |
| レイアウト | 左上から右下への流れを意識 | 読み手の視線を自然に誘導 |
| 色の使い方 | 赤・青で重要箇所を強調 | 注目ポイントを明確化 |
| 図面以外の要素 | 素材サンプル/コメント添付 | 設計意図の理解を促進 |
| デジタル提出形式 | PDF(埋め込み情報付き) | 寸法確認・再利用が可能 |
プロの現場で使われる図面テンプレートの活用法
家具製作の現場では、標準化された図面テンプレートを活用することで、作図効率と品質が大きく向上します。
テンプレートの特徴:
- タイトルブロック(作成者/日付/縮尺など)
- レイヤー・寸法・記号・注釈のプリセット
- 材料・部品表と連動した構造
活用の流れ:
- ベースとなるテンプレートを複製
- よく使う材料・接合方法・記号をカスタマイズ
- 自社用テンプレートとして運用
これにより、寸法入力・注釈・見積データとの連携も容易になります。DIYで家具製作を行う場合も、プロの図面を真似してテンプレートを整えることで、精度の高い設計が可能になります。
よくある質問(FAQ)
-
家具図面はどの縮尺で書けば良いですか?
-
設計段階では1/20、製作段階では1/10や原寸など、用途に応じた縮尺が使われます。
-
家具図面に使える無料のCADソフトはありますか?
-
SketchUp(無料版)やJW-CADは初心者におすすめの無料CADソフトです。
-
家具図面に必要な基本図面には何がありますか?
-
平面図、立面図、断面図、詳細図の4種類が基本です。それぞれに役割があります。
-
手書きとCADのどちらが良いですか?
-
正確性や修正のしやすさを考えるとCADがおすすめですが、手書きで基本を学ぶことも重要です。
-
図面に書く材料や接合部の情報はどう書けば良いですか?
-
材料は注釈や記号で、接合部は詳細図や拡大図を使って明確に記載します。
まとめ
本記事では、家具図面の書き方の基本から応用までを、初心者でも理解しやすいように体系的に解説しました。
- 家具図面に必要な平面図・立面図・断面図などの種類と役割
- 手書き・CADの両方に対応した書き方のステップとコツ
- 縮尺や線の使い分け、寸法の記入方法などの製図の基本ルール
- 材料・接合部・家具の種類ごとの表現方法と応用テクニック
- 提出・プレゼン資料としての図面のまとめ方とテンプレート活用法
これらの知識を身につけることで、DIYで家具を作りたい方も、建築やインテリア設計を学ぶ学生の方も、伝わる・使える家具図面を書けるようになります。
ぜひ実際の製作や課題に活かしてみてください。










