「クローゼットの図面ってどうやって書けばいいの?」
住宅設計や内装工事に携わる方なら一度は感じる疑問です。
クローゼットは単なる収納スペースではなく、使い勝手や設置環境、建築基準法の規定など、様々な要素を考慮して設計する必要があります。
本記事では、建築・インテリア関係者や住宅設計を学ぶ方に向けて、クローゼット図面の基本知識から、実際の書き方、施工時の注意点までをわかりやすく解説します。

クローゼット図面の基礎知識と構成要素
クローゼット図面を正確に書くためには、基本的な構造の理解と図面の種類を把握することが重要です。
クローゼットには壁面収納、ウォークインクローゼット、造作収納など複数のタイプがあり、それぞれ異なる図面表現が求められます。
クローゼットの種類と必要な図面情報
クローゼットは設置方法と用途によっていくつかのタイプに分類されます。
| クローゼットの種類 | 特徴 | 図面での表現ポイント |
| 壁面クローゼット | 壁に埋め込まれた一般的なタイプ | 開口部と内部構造を明示 |
| ウォークインクローゼット | 人が中に入れる大型収納 | 動線と通路幅を重視 |
| 造作クローゼット | 現場で作り上げるオーダーメイド | 詳細な施工図が必要 |
| システムクローゼット | 既製品を組み合わせるタイプ | メーカー規格に準拠 |
クローゼット図面には以下の基本情報を必ず記載する必要があります:
■ 寸法情報
- 幅・奥行き・高さの外形寸法
- 棚板・ハンガーパイプの位置と高さ
- 扉の開口寸法と開閉方向
■ 構造・仕上げ情報
- 床・壁・天井との取り合い
- 内部の仕上げ材料と扉の仕様
- 補強材の位置と設備記号
縮尺と線の使い分け:
- 平面図・立面図:1/20~1/50
- 詳細図・断面図:1/10~1/20
- 太い実線(外形線・切断線)、細い実線(寸法線・引出線)、破線(隠れ線・上部の棚)、一点鎖線(中心線・対称軸)
JIS規格に準拠した線の使い分けにより、誰が見ても理解しやすい図面を作成できます。
平面図・立面図での具体的な書き方
平面図と立面図は、クローゼットの配置と内部構造を表現する最も重要な図面です。
扉の開閉方向、内部の棚配置、動線の確保など、使い勝手に直結する情報を正確に表現する必要があります。
扉の開閉表現:
- 開き戸:弧を描いて開閉方向を表示、開閉時のスペースを点線で明示
- 引き戸:戸袋の位置と引き込み方向を矢印で表示
- 折れ戸:折れ方向を複数の弧で表示、折れた時の奥行きを考慮
内部レイアウトの標準寸法:
| 要素 | 標準寸法 | 図面表現 |
| ハンガーパイプ | 床から1600-1800mm | 円形記号と高さ寸法 |
| 上段棚 | 床から1900-2100mm | 破線と寸法線 |
| 中段棚 | 床から1000-1200mm | 実線と材料注記 |
| 引き出し | 床から200-800mm | 矩形と引き出し記号 |
立面図では、クローゼット内部を正面から見た状態を描き、棚板の位置と材料(厚み18mm合板など)、ハンガーパイプの高さと支持方法、内部照明の位置と種類、壁面の仕上げ材料と工法を明示します。
断面図では、奥行き方向の構造や取り合いを表現し、床・天井との接続方法、換気経路、配線経路などを明確に示します。
CADを活用した効率的な図面作成
クローゼット図面作成では、CADソフトを活用することで作業効率と精度が大幅に向上します。
手書きでは難しい複雑な形状や、寸法の自動計算、修正作業の簡素化など、CADならではのメリットを活かした図面作成が可能です。
適したCADソフトの選択:
| ソフト名 | 特徴 | 対象ユーザー |
| JW-CAD | 無料・国産・建築業界標準 | 初心者~中級者 |
| AutoCAD | 高機能・業界標準・豊富な機能 | 中級者~上級者 |
| SketchUp | 3D表現・直感的操作 | 初心者~中級者 |
| Vectorworks | 建築・インテリア特化 | 中級者~上級者 |
効率化のポイント:
- レイヤー分け活用:
- ブロック機能活用:
- 寸法管理:
基準線レイヤー(グリッド・通り芯)、建築躯体レイヤー(壁・床・天井)、クローゼット外形レイヤー、内部構造レイヤー(棚・ハンガーパイプ)、寸法・文字レイヤー、設備レイヤー(照明・換気)に分けることで管理が容易になります。
よく使用するクローゼット部品(標準的な棚板、ハンガーパイプ、各種扉など)をブロック化することで、作図時間を大幅に短縮でき、品質の統一も図れます。
CADの寸法機能を活用することで、手動計算によるミスを防ぎ、図面の精度を向上させることができます。
連続寸法機能による寸法チェーン作成や、関連寸法の自動更新設定により、設計変更があった場合も整合性を保つことができます。
施工図レベルでの詳細表現と実例
クローゼットの施工図では、実際の工事で必要となる詳細な情報を漏れなく記載する必要があります。
構造体との接続方法、下地補強の位置、各種金物の仕様など、施工者が迷わず作業できるレベルの情報が求められます。
下地補強と金物の詳細仕様
クローゼットは重量のある衣類を収納するため、適切な下地補強が不可欠です。
| 部位 | 補強方法 | 図面表現 |
| ハンガーパイプ受け | 30×40mm胴縁補強 | 断面図で補強材を明示 |
| 棚受け金物 | 12mm合板下地 | 平面図で下地範囲を表示 |
| 扉枠取付部 | 45×45mm角材補強 | 立面図で取付ピッチを記載 |
| 天井固定部 | 野縁との確実な固定 | 詳細図で接続方法を図示 |
主要金物の仕様表記例:
- ハンガーパイプ:φ25mmステンレス製・両端ブラケット固定
- 棚受けダボ:φ5mm真鍮製・可動式(32mmピッチ)
- 蝶番:35mmソフトクローズ仕様・耐荷重15kg
- 取っ手:ステンレス製・ライン取っ手・L=120mm
メーカー名や品番も併記することで、発注・施工時のトラブルを防げます。
住宅タイプ別の設計ポイント
- マンション向けクローゼット:
- 戸建て住宅向けクローゼット:
- ウォークインクローゼット:
構造壁への取付制限、管理規約による工事制限、隣住戸への騒音配慮、既存設備配管との干渉回避が重要です。
構造体への影響確認、断熱・気密性能の維持、外部からの採光・通風計画、将来的な間取り変更への対応を考慮します。
人が中に入るため、建築基準法上の居室として扱われる場合があります。床面積による採光計算、換気設備の設置義務、防火・避難規定への適合などを確認し、図面で明示する必要があります。
よくある質問(FAQ)
クローゼット図面はどの縮尺で書けば良いですか?
平面図・立面図は1/20〜1/50、詳細図は1/10〜1/20が一般的です。情報量に応じて選択してください。
ウォークインクローゼットで注意すべき法規制はありますか?
床面積が一定以上の場合、採光・換気の規定を満たす必要があります。建築基準法の確認が必要です。
クローゼット内部の標準的な寸法はありますか?
ハンガーパイプは床から1600-1800mm、上段棚は1900-2100mmが標準的です。使用者の身長に応じて調整します。
施工図に記載すべき最低限の情報は何ですか?
外形寸法、内部構造、使用材料、金物仕様、下地補強の位置は必須です。設備がある場合は配線・配管も記載します。
まとめ
本記事では、クローゼット図面の基本から実践的な書き方まで、体系的に解説しました。
クローゼットの種類と特徴に応じた図面表現の使い分けから始まり、平面図・立面図・断面図それぞれでの詳細表現方法、CADを活用した効率的な作図テクニック、そして施工図レベルでの詳細情報の記載方法まで、実務に直結する内容をお伝えしました。
また、住宅タイプ別・用途別の設計ポイントについても、マンションと戸建て住宅の違いや、ウォークインクローゼットの法規制なども含めて解説いたしました。
これらの知識を活用することで、使いやすく機能的なクローゼットを設計し、施工者にとって分かりやすい図面を作成できるようになります。
特に、適切な縮尺設定や線の使い分け、CADでのレイヤー管理やブロック機能の活用により、作業効率と図面品質の両方を向上させることが可能です。
住宅設計やインテリア計画に携わる方は、ぜひ実際のプロジェクトでご活用ください。










